第888作目プリズナーズ

プリズナーズ

(2013年アメリカ)

ジャンルサスペンスドラマ

〜オススメ値〜

ヒュージャックマンジェイクギレンホー

伏線が散りばめられた上質ミステリー。

どこの家庭にも起こりうる突然の最悪の事態。

(オススメ値の基準)

1つ一度は見たい

2つ良作だと思う

3つぜひ人にオススメしたい

4つかなりオススメ!

5つ人生の一本、殿堂入り

オススメ対象外は月毎のざっと書きにて紹介

以下、ネタバレ注意!!

あらすじ

田舎町で工務店を営むケラーは感謝祭の日、ふと目を離した隙に娘のアンナと隣人の娘ジョイが共に行方不明となってしまう。警察の捜査でその日のうちに不審車両と容疑者アレックスは拘束されたが、アレックスの証拠は不十分であり、間も無く釈放されてしまう。アレックスがケラーに告げた言葉から、彼が娘の居場所を知っていることを確信したケラーはアレックスを監禁。痛めつけて居場所を吐き出させようとするようになった。一方、事件を担当するロキ刑事はケラーの自宅に祈りを捧げに訪れる人の中から不審人物を発見。男はロキ刑事に反撃をして逃走する。

監督ドゥニィルヌー

(複製された男ボーダーラインブレードランナー2049)

脚本アーロングジコウスキ

(ハードラッシュ)

出演ヒュージャックマン、ジェイクギレンホール、マリアベロ、ポールダノ、メリッサレオ、ほか

主演の二人が豪華すぎる

ウルァリンじゃないタイプのヒュージャックマン、渋くて良いよなぁ。

そして、ナイトクローラー以来に見たジェイクギレンホール。全然キャラクターが違うじゃないか。

ヒュージャックマンとジェイクギレンホールのW主演状態の豪華なミステリー。

とても謎めいていて伏線もしっかり張られていておもしろかった。ここ最近で見たミステリーの中でもかなり上質だったと思う。

百聞は一見にしかずなので、ぜひミステリーが嫌いじゃない人にはご覧いただきたい。絶対に退屈させないこと請け負いである。

そして、ミステリーのオチを知りたくない場合は以下のネタバレ解説にはご遠慮いただきたい。

豪華な二大ハリウッドスターの共演は見ものである。

ヒュージャックマンが演じるのは、娘が行方不明になって捜索にあたる父親のケラードーァーである。

感謝祭のパーティの日、すぐ隣近所の自宅に戻るために友人宅から外出した娘アンナが友人の娘バーチと共に忽然と姿を消した。

すぐに警察の捜査が始まる。その捜査に加わっていたのがジェイクギレンホール演じる敏腕刑事のロキ刑事である。

ロキ刑事は近辺で不審車両のRV車を発見。運転をしていた青年アレックスを拘束する。

アレックスには怪しい雰囲気が漂っていたが、物的証拠もなくアレックスの知能指数は10歳程度だった。

警察はアレックスを検挙できず釈放期限を迎えてしまう。

ケラーは釈放されたアレックスが耳元で自分の前では泣かなかったと囁いた言葉を聞き逃さなかった。

怒り心頭のケラーは誰しも思いつかなかった方法に出る。

なんと、アレックスを拉致して監禁したのだ。

娘の居場所を吐くまで殴り続けるケラー。被害者家族が容疑者に牙を剥くのだが、やがてその拷問も熱湯責めにするなど狂気を極めていく。

拘束された容疑者アレックス。この後、ぼこぼこに殴られ膨れ上がった顔の特殊メイクは痛しかった。

絶句する真実

最悪に備えろという台詞の通り、こういう被害は突然訪れる可能性がある。

決して闇稼業に住む人間と関わるようなことのないどんなに平凡な家庭でも、ある日突然被害者になるかもしれない。それは、明日訪れるかもしれない悲劇なのだ。

それがまた恐怖を煽っている。

最悪の事態が起こった時、人はどんな行動を選択するだろうか。

たとえばもしも、自分の子供が行方不明となり、しかも最有力候補の容疑者が証拠不十分で釈放になったとしたら、私たちはケラーのような悪魔と化してしまうのだろうか。

それとも、アンナと共に行方不明となったバーチの父のように、ケラーの拷問を見逃してやって自分は関与しない立場に立つのだろうか。

法を守るという倫理はケラーだって十分に理解している。だが、死んだことが確認できていない娘の生存可能性に希望を抱き、その娘を発見するためにはどんなことでもしたいと思うのは親の当然の気持ちであろう。

親の仇を討つ子供よりも、子供を救おうとする親の方が何百倍も強く、怖い。

子供を失い、狂気と化した親は見境なく容疑者を追い詰める。

しかも、このミステリーのオチを言うと、アレックスは真犯人ではなかった。

アンナたちが誘拐されているのを知っていて止めなかったという意味では共犯者ではあるものの、彼の知的能力は確かに10歳程度だったのだ。

彼は何十年も前に同様に拉致された子供であり、真犯人であるアレックスの叔母(を演じていた)ホリーが、彼に知的能力が上がらない薬を投与し続けていたのだった。

アレックスは子供の頃にホリーに誘拐され、薬で抵抗力を失わされていた。そして今度は自分が誘拐犯の疑いをかけられ、ケラーによって謂れの無い拷問を受けている。

だが、彼には抵抗力は無いし、何よりケラーが自分に暴力を振るう理由も彼の質問に対する答えも分からないのだ。

なんという人生か。絶句する。

アレックスは連続誘拐犯のホリーによって誘拐された子供のうちの一人だった。薬の影響で知的能力は著しく低い。

そして、ケラーはその罪が神の手によって裁かれてか、ホリーによって穴ぐらに閉じ込められる。ラストシーンでロキ刑事がホリーの自宅を捜索している時にケラーが吹いたものらしき笛の音を聞くのだが、果たしてロキ刑事はケラーを見つけ出しただろうか。

ケラーが自身の居場所を教える道具に使った笛についても、物語の序盤から伏線を張っている。また、教会の地下室でミイラと化した男性の死体、犯行現場に訪れてロキ刑事を襲った謎の男、迷路というキーワードと、

緻密に計算された物語が複雑な謎を生み出しながらも、最後には一本の糸で繋がるところが素晴らしい。

まさに、上質なミステリーであった。

(153分)